どろんこパンツ

クラスに慣れ始め、全体が少しずつまとまり出して来た6月。が、まだまだ十分ではない。そんな頃にいよいよどろんこパンツスタートである。

《年少組》
 いつもと違うパンツ一枚で行うどろんこ遊びは、泣いている子や不安げな子の気分を大きく変える。「よーし!大きな山を作ろう。工事屋さんに変身!」と担任がスコップを持って山を作りはじめると「手伝ってあげるよ。」と何人もが動き、マネをする。又「水を運んでこの穴を温泉にします。うわー気持ちいいな~。」とこちらが一人芝居を本気でやると、楽しそうだなと何人もが一緒になってやり出す。気付けば「僕も!」「私も!」と続々と人数が増えていく。面白い事や楽しい事には目のない子ども達。そして動き出せば次の動きへと繋がる。最初は嫌がっていた子も皆に刺激されいつの間にか水の中へ入っていたりする。何回か行っている今では、子ども達自ら動き出す姿が増えてきた。皆で1つの遊びを共にする事で楽しさは倍増。また開放感が大きいだけに泣くのも忘れる程、夢中になれる。そしてどろんこ遊び後の着替えでは少年ならではの光景が広がる。一人ずつ担任に体を洗ってもらいクラスへ戻ると、裸のまま遊びはじめている子や着替えずに立ち尽くしている子、人の服を着ている子、「終わった。」という子を見るとズボンを履いていなかったりと様々。しかし最近では互いに教え合ったり、面白い事もクラス皆で笑い合ったりする姿が増えてきた。まだ入園して3ヶ月だが、子ども達は友達と毎日関わる中でみるみる力をつけ、楽しさを共有している。その成長が嬉しく思う日々である。

《年中組》
 「誰か、ここに水をかけてくれませんか?」と、こちらが声を掛けるとそれを聞いた子ども達が「はーい、いくよ!」と、地面に水をかけていく。その土をこすっていくととろとろした泥のできあがり。タプタプとしていて気持ちがいい泥である。この“とろとろ作り”は、子ども達もすぐに夢中になる。「いいとろとろができたから、体につけてみる?」と言うと「私は大丈夫だからね!」と拒否の返事が返ることもある。始めは泥で汚れる事を嫌がる子もいる。「お湯で洗えばきれいになるから平気だよ。」「よーし、誰をどろどろ星人にしちゃおうかな?」「きゃー!」逃げて行く子ども達を追いかけ、腕や足に泥をつけていく。すると「やったな~、お返しだ!」とすぐにやり返してくる。「うわぁ、やられた!○ちゃん、もっととろとろを作ってくれる?助けて~!」と、周りで様子を伺っていた子に声を掛けると「待っててね、すぐに作ってあげるから!」「僕のとろとろも使っていいよ!」と、次第に仲間が増えていく。「皆のとろとろでパワーアップしたぞ!待て~!」再び追いかけっこが始まる。ぎゅうっとハグしながら泥をつけていくと、ちょっぴり照れながらも喜んでいる姿が何とも可愛らしい。はじめは苦手そうな表情をしていた子も笑顔になり心がほぐれていく。一人、また一人と泥のつけ合いっこの輪が広がっていき、時にはクラスを越えて盛り上がることもある。体洗いをしている時「また先生にいっぱい泥をつけちゃうからね!」と、はじめは嫌がっていた子が話してくれると心の中でこっそりガッツポーズをしてしまう。

《年長組》
 「大きな海作ろう。」「南の島はどう?」「いいねぇ。」と相談して作る物を決めるとすぐ様作業開始。♪南の島の大王は~♪(6月の歌)と口ずさむ子がいると周りにいる子達も歌い出しいつの間にか皆で大合唱。心がウキウキする。「ハメハメハ大王も作ろうよ。」と担任も意見を出す。…と言ってみたものの(どうやって作ろう。)と考えていると「ここ顔にしたらいいんじゃない?」「手になる物、探してくる。」「大王沢山作ろう。」と子ども達で発想を広げていく。「島には海があるね。」「ここ掘ります。」とスコップ隊や「水汲んでくる。」とバケツや大きなビニール袋に水を入れ、「夏のサンタからのプレゼントです。」「バシャー。」と水汲み隊にまたたく間に分かれる。さすが年長。役割分担をし、あっという間に広い海ができあがる。今まで何度も行っているからこそ自然と体が動く。「暑いから泳ぎたーい。」「わぁー気持ちいい。」と出来た海に入りダイナミックに遊ぶ。年長とは言えどろんこが苦手な子もいるが、友達が楽しく遊んでいるのを見ていつの間にか気分も乗り自分なりの楽しみを見つける。「本当の南の島にいるみたい。踊りたくなってきた。」と担任が言うと「いいね。」「踊ろう。」と何人かが集まり腰をくねくねフラダンス。本物のダンサーの様にしなやかに踊る。「わぁー上手。」「私もやってみたい。」と友達の踊りを真似る。もちろん大人だって負けてはいない。見よう見まねで行ってみるがどこかぎこちなくへんてこな踊りに子ども達と笑顔になる。どろんこぱんつは心が大きく開放される。だから友達と会話をしながら遊びを展開していくのがとてもとても楽しい。  

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