「だんご虫の所までよーいどん!」年少組の4、5月に体作り、心の開放を兼ねてよく取り入れるかけっこである。気のりせずやっとの思いで走る子、体が思うように動かず途中でころび泣き出す子も。そんな時、先を走る担任はササッともどり、パッと起こしたかと思うと手をつなぎサササと皆の持つブランコへ。風の様だ。ゴールにはまだ長くは待てない子、不安気な子達がたくさん待っている。だからできるだけ間をあけない。「わー、だんご虫たくさんいる!」と、しばし観察。「次は先生にタッチね。つかまえてみて!」と自らくるくるまわったりカーブしたり。動きが変わると隣の子とコッツンコ。でも何度もやっているうちにうまくなる。「今度は汽車(すべり台)の黄色までよーいどん。」変化を加えながら楽しさを継続していく。考える間もなく動き、必死についていく子ども達。が、朝泣いていた子も今だけは走る走る。というより泣くひまがない。子ども達がすべり台に上がり出すと担任は下で待ちうけ、すべってくる子順にコチョコチョしたりタッチしたりと体に触れる。「あははは!」「きゃあー。」「僕はコチョコチョやだ~。」と反応する。場所をゆずってくれた年長さんの真似をしてトンネル内でねそべる子達も。ここは水のにおいが漂い、森にいる様でなんだかリラックスムード。こんなくり返しを日々続けていると何日か後には子どものコチョコチョ隊ができていて今か今かと待ちうけ、ここぞとばかりにくすぐる。皆でやると楽しさ倍増。すべる方も何人もの手でくすぐられ、体をよじらせて大笑い。この様な入口を通りながら徐々に様々な集団活動へとつなげていく。
連休後、早くも色鬼というルールのある集団遊び(=集団活動)が始まった。ひときわ楽しそうな担任と共にふりをつけながら歌う子ども達。にこにこ顔が増え、決めポーズに力を入れる子が出、初期ずっと泣いていた子もやっていた。
年中組・年長組も新クラスで緊張してのスタートである。が旧学年終盤に好んでいた遊びをしながらたくさん体を動かし、徐々に本領を発揮しだしている。自信を持って動いていた時の勝手知る場の存在は大きい。その中では体がエネルギッシュに動くので心も大きく開く。今では以前の表情や言葉、はつらつさが随分と出る様になった。4月からの入園児も仲間のリードを受けながら自然に流れにのり走りまわっている。
この幼児期、多くの子が好む遊びがある。そんな遊びを担任も共に行いながら様々なきっかけをそれとなく投げかけていく。それは体中で楽しむ事、皆仲間という心持ち、広がりを作る会話や笑い、アイディアなどなど。一学期、担任との信頼関係ができ、心が開放され始めると好きな遊びゆえに子ども主導にどんどん移行する。そしてスイスイ大人を追いこし、持っているエネルギー全開で活動しだす。5月の青空の下、見ているこちらも楽しくなる子ども達と担任の姿である。